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特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンへの寄付を実施

対談:フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの「コンゴ民主共和国 貧困農村開発」に寄付を実施。

 

Bleaf株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:大場 正之)は、山梨中央銀行のSDGs私募債を通じて、特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの「コンゴ民主共和国 貧困農村開発支援」への寄付を行ったことを報告いたします。

 

また、2024年5月にBleaf本社に「認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(以下FTC)」の中島様、板倉様をお招きし、「コンゴ民主共和国 貧困農村開発支援」の経緯や今後の展望についてディスカッションした様子をお届けします。

 

Bleaf清水:本日はご足労いただきありがとうございます。まずは、フリー・ザ・チルドレンとは、どのような活動をしている団体なのかお伺いさせてください。

 

FTC中島様:フリー・ザ・チルドレンの始まりは、カナダに住む当時12歳のクレイグ君がたまたま読んだ新聞で自分と同じか自分よりも幼い子どもたちが働く“児童労働”のことを知り「なんとかしたい」と思ってクラスメイトに呼びかけて活動したことでした。当時は「子どもになんて何にもできないよ」という声も多かったのですが、「子どもだって声も権利もある社会の一員だ」という思いで署名活動や募金活動を続けていました。

 

クレイグ君が中学生になった時、カナダから見ると地球の反対側になるインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、タイの5カ国を活動家の人と一緒に50日間で巡る旅をしました。そこで実際に想像を絶するような過酷な環境で働いている子どもたちに出会います。例えば、素手で使用済みの注射針を分別するなど、危険性も知らずに子ども達がやらされている現状をその目で見て、「このまま児童労働を放置したら、この子どもたちは学校に行けず何の知識も得ず大人になり、貧困から抜け出せないまま自分たちの子どもをまた働かせるという悪循環から抜け出せない」と思い、国際的な活動を始めます。その時に出会った子どもたちの状況や過酷な環境を本にまとめたり動画にしたり各地でスピーチをしながら北米を回っていたところ、一緒に活動したいという子がどんどん増えて活動が大きくなっていきました。

 

Bleaf清水:中島様がフリー・ザ・チルドレンに出会ったのはいつ頃でしょうか。

 

FTC中島様:私が1997年にアメリカのNGOでインターンをしていたときに、たまたま読んだ雑誌でフリー・ザ・チルドレンのことを知りました。当時の私は、社会問題というのはある程度の知識を得てからじゃないと取り組めないと思っていたのですが、雑誌を読み“子どもだからこそできることがある”のだと気づいて、本当にびっくりしたことを覚えています。また、その思いを子どもたちに伝え、子どもたちと一緒に児童労働や搾取から子どもを解放するという理念に惚れ込み、1999年にフリー・ザ・チルドレン・ジャパンを立ち上げました。

 

私たちの活動の柱として、1つ目は子どもを貧困や差別から解放するための国際協力活動と国内で困っている子どもたちに直接的な支援をすること。2つ目が、“子どもには世界を変えられない”という考えから解放することです。大人の中にもそう考えている人がいるので、大人に対してもアプローチし、子ども自身にもエンパワーメントしています。子どもたちが活動の担い手となれるようにリーダーシップトレーニングキャンプや出張授業、学校を訪問し出前授業やそれに伴う教材開発も行っています。

 

Bleaf清水:日本国内の活動も活発に行っておられるのですね。

 

FTC中島様:フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの設立から25年が経ち、日本の子どもたちが声を上げられる環境は格段と良くなっていると感じています。ただ一方で、子供の自殺率が残念ながら過去最多と言われているのも事実です。日本の子どもたちは本当に幸せなのかと考えると、そうではない現状があると私たちは思っているので、今年は日本の子どもたちに“1人1人が大切な存在で社会の一員なんだ”ということを周りの大人も含めて伝えて行く活動に重きを置いています。これまでは学校や個人に特化していたのですが、これからはもっと行政と一緒にやっていこうと思っています。

 

Bleaf清水:続けて、国際協力事業についてお伺いさせてください。

 

FTC中島様:私たちが1番古くから支援しているのはフィリピンです。1999年の創立当時はまだ児童ポルノ禁止法が施行されたばかりでした。今では法律的な面も含め随分整ってきたと思いますが、当時のフィリピンではアジア出張に来た日本人が現地で子どもや女性を買うということが、残念ながら横行している状態でした。まずはそのような性産業で働かされている子どもたちを救出して教育を受けられるようにすることに力を入れていました。

 

次がインドです。インドは当時児童労働の最多国でした。当時世界での児童労働は2億4,600万人と言われ、その約4割がインドにいるということが大きな問題になっていました。そこで西ベンガル州にあるNGO団体CCDと組んで支援を始めました。

 

ご支援をいただいたコンゴは昨年に調査をした段階で活動としてはまだ何もできていないのですが、今回いただいた支援金でやっと計画を始められるようになりました。

 

Bleaf清水:アフリカにたくさんの国がある中でコンゴを支援しようと決めた理由は何でしょうか?

 

FTC中島様:アフリカを支援したい、支援すべきだという思いはずっとありました。例えば先ほど話も出たインドは25年前から比べると児童労働がずいぶん少なくなっています。まだまだ格差が大きいので支援は続けますがインドという国自体もこれから発展していく兆しがあります。その点、アフリカは自国だけではどうしようもないというのが現状です。

 

中でもコンゴは世界銀行によると世界最貧国5カ国の1つと言われています。アフリカ大陸の中で中央に位置し、国土も広くて人口は9,000万人ほどの国です。そして、これが大きな課題に繋がるのですが、コンゴでは「レアメタル」が採れます。世界シェアの7割を占めるレアメタルがコンゴに眠っていると言われているので、うまくすればサウジアラビアのように豊かな資源を活かして社会福祉などを整えられるはずなんです。

 

しかし、アフリカ諸国は第二次世界大戦前のヨーロッパ強国による植民地支配されていた歴史があり、コンゴも例外ではなく当時のベルギー国王レオポルド2世によって長らく支配されていました。その内容というのが記録を読むだけでも具合が悪くなるほどの残虐なもので、コンゴが国家として機能する前にさまざまな搾取を受けていたんです。また、レオポルド2世の支配から独立した後も各地で紛争が起こり不安定な状態が続いています。紛争の原因の一つが「レアメタル」をはじめとした鉱物の存在です。豊富な資源を国で管理できれば良いのですが、国家そのものが弱いのでうまくコントロールできない現状です。

 

私たち日本人から見ると、遠くアフリカの紛争は関係ないことと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。先進国が必要としている「レアメタル」の利権争いによってアフリカで紛争が起きているということ、私たちが間接的に加担していると言えることを日本などの先進国にいる国の人々にもっと知ってほしいと思っています。

 

Bleaf清水:私たちの支援金はコンゴでどのように活用されるのでしょうか。

 

FTC中島様:今回いただいた支援金で農家の方に野菜やイモ類の種を渡す計画です。私たちが今回支援する地域の子どもたちは学校に行けないどころか食事もまともに取れていない本当にひどい状況なんです。まずは、現地で農作物を育てて、それを学校の給食にする。給食があると子どもたちは学校に行くモチベーションになるので教育の安定化ができる。そういう活動をしていきたいと思っています。

 

Bleaf前田:海外支援の活動では金銭的な支援が多いと思いますが、物資の支援はどのように考えておられますか。例えば、弊社ですとアパレル商材を多く扱っているので、使われていない服を寄付することはとても分かりやすい行動かと思うのですが、一方でそういう物資的な支援は迷惑になっているという話を聞くこともあります。実際はどうなのでしょうか。

 

FTC中島様:おっしゃる通り大量の衣料品はたとえ新品であっても海外に輸出することでそれが売り捌かれることなくゴミになってしまうことは事実としてあります。大量に良いものが安価で海外から入ってくると自国の産業が育たなくなってしまうということも無視できない問題です。また、物資は寄付であっても関税がかかることも難しい点ですね。実際に関税がものすごく高くて“これなら現金を送った方が良かった”ということがあります。

 

物資でいうと、私たちはスタディツアーとして中学生、高校生、大学生を連れてフィリピンなどの諸外国へ行くことがあるのですが、そのとき持ち込めるスーツケースに支援物資として文房具やTシャツを入れて持っていくことはあります。現地のホームステイでお世話になった家族や出会った人にプレゼントするんです。そういう関係性ができていれば横流しされることもないですし、本当に喜んでいただけます。なので、すべての物資に意味がないとは全く思わないのですが、やり方に気をつけないと難しいですし、それによって問題を引き起こしてしまう可能性があるのも事実ですね。

 

Bleaf清水:僕たちがパートナーになることで、国内外に問わず今後さまざまな取り組みができると考えているのですが、何か直近で支援できることなどありますでしょうか。

 

FTC中島様:子どもたちや若者の“自分たちの力で社会をより良くできるんだ”という思いを育てたいという考えから「あなたには権利があって、あなたは社会の大切な一員。ひとりひとりに力があって、変化を起こしたいなら変化を起こすことができる」ということを伝えると同時に、国内外で起きている問題を知ってもらう機会として「チェンジメーカー・フェス」というイベントを開催しています。

 

昨年は東京ドームシティホールで開催し、歌手の方やYouTuberをはじめとするインフルエンサーの方々にご出演いただきました。今年も開催する予定で進めていますので、イベントへの協賛や周知にご協力いただけると嬉しいです。

 

Bleaf小川:国際問題は積極的に知ろうとしない限りなかなか知る機会が少ないので、子ども達がそういったイベントを通して知ることができるのはとても素敵ですね。子どもの頃にそういう経験があると、高校生や大学生になって思い出して活動をする側になるなど、未来に繋がるものだと思います。弊社のユーザーはお子さんのいるユーザーが8割を超えているので、そういった部分でも“知る機会”を一緒に作って行けたらいいなと思います。

 

FTC中島様:ありがとうございます。「チェンジメーカー・フェス」は25歳以下の子どもや若者は“何かのアクションを起こした活動報告を提出”してもらえば無料で招待しています。アクションはなんでも良いんです。例えば“マイボトルを持っていてプラスチック製品を減らそうとした”とか“誰かのためにごみ拾いをした”とか。まずは身近にできるようなことで良いので、それを報告してくれたら無料でイベントに参加できるという形にしています。去年は3月に行ったのですが1,200人ほどの子どもや若者が何かしらのアクションを起こしてイベントに参加してくれました。

 

Bleaf前田:社会活動というと私自身も何か大きなことをしなければいけないと思い込んでいたのですが、今日お話しいただいたことでマイボトルだったりゴミ拾いだったり、本当に身近なものから参加できることを知れたので、そういった情報をもっと気軽にSNSなども活用して子どもたちに伝えていけたらいいなと思います。

 

FTC中島様:そうですね。社会問題に興味のない子どもや、勉強もスポーツもできなくて夢もない、そう思ってさまざまなストレスを抱えている子どもたちにもアプローチしていきたいです。“好きなインフルエンサーに会えるイベントに無料で行けるならゴミ拾いしようかな”と思ってひとつのアクションを起こす、そのスタートにしてもらいたいと思っています。そして「チェンジメーカー・フェス」がアクションを起こした同志に会える場になり、“あのイベントに行ったら同じ思いの子に会えるんだ”というモチベーション、毎日の楽しみになってくれたらいいなと思っています。

 

Bleaf小川:私自身、国際的なボランティア活動には参加した経験があるのですが、海外よりも国内の方が興味関心を持ってもらいにくいと感じています。国内のことだと同じ環境で同じ国のことなので、直接関わることに躊躇いがあるようで、私自身モヤモヤする部分でした。今回、会社を通してプロジェクトに賛同することで間接的に国内の問題にも参加できることを嬉しく思います。

 

FTC中島様:国内の貧困も大きな問題なのですが、直視してしまうと自分自身のストレスになりメンタルに関わってくる部分なので、興味を持ってもらうことはなかなか難しいと私も感じています。私たちが行っているリーダーシップトレーニングキャンプでは、そういったバックグラウンドを持っている子どもたちを無料招待しているのですが、誰がどこから来たというのは参加者には知らせないで同じ環境で学べるようにしています。それでも、例えば旅行にほとんど行ったことのない子どもと海外旅行にも行ったことがある子どもなど差が生まれてしまうのですが、その差に子どもたちが責任を感じる必要はないので、うまくスタッフがサポートできるように進めています。そういった子どもたちが垣根を超えて国内外の問題にどう取り組むかということを見つけてもらえるようキャンプを実施しています。

 

Bleaf清水:国内の貧困家庭の親御さんに対する衣料品の支援などはいかがでしょうか。子どもばかりにフォーカスせず、親が使用する衣料品を支援することで間接的に子どもを支援できるかなと。

 

FTC中島様:それもありだと思います。今までもシングルマザーやシングルファーザーが集まるコミュニティに連絡をして、こういうものを無料でお渡しできますという提案をさせていただくこともありました。

Bleaf清水:今回お話をさせていただいて、まだまだ私たちにできることがあると感じました。今後も一緒に色々な形で取り組んでいけたらなと思います。本日はありがとうございました!